コラム

坐禅に参加して ー京都妙心寺 龍泉庵ー

坐禅に行ってみたら何かが変わる気がする。しかし、現実はいきなり足と腰が痛いことに心が囚われて、私が期待していたことを何も教えてくれない。でも、昔から続いている坐禅には精神鍛錬のための何かあるはずである。いつも受けている研修は、様々なことを講師の先生が教えてくれる。しかし、この坐禅研修は何も教えてくれない。自分から、坐禅の研修の意味を見つけないと、足と腰が痛いことだけに心が囚われて終わりそうである。座禅研修でやったことの基本は、「坐禅」・「食事」・「お経」の3つで、ここにヒントが隠されている気がする。

まず、「坐禅」は、何も考えずに座ること、無念無想なることぐらいは分かっているが、実際座ってみるといろんなことが思い浮かんでくる。頭の中から消し去ったと思ったら、知らない間に次のことを考えている。飯塚毅初代会長の「二念を継ぐなかれ」どころか、切りがない。無念無想になれば最高の集中力を得て、すごい洞察力が身につくというが、足と腰が痛いことだけに心が囚われて終わりとなる。どうしたら、無念無想になれるのか、すぐにできる方法は分からないが、まずは日常生活においても坐禅をすることから始めてみることにしよう。

次に、「食事」の作法は、最低限のことを教わる。それ以外は、和尚の動作を見てまねる。そして、食事中は無言であり、音を立てないように一つ一つのことに気を配り、動作で知らせる。出されたものは残さず、全部を時間内に食べる。食事の作法はいろいろあるが、この基本を身に付ければ、お客様との食事のときでも使え、恥をかかなくて済みそうである。
(食事の作法)
①頂くときは、合掌して待ち、擦り合わせて知らせる。
②いらないときは、頭を下げて、断る。
③お湯をもらうときは、左手でお椀をもって、右の手のひらを上げて知らせる。
④お椀は、手に持って食べる。
⑤たくわんは、1つ残して、お椀をきれいにする。

また、「お経」は、般若心経である。朝のおつとめの読経に始まって、食事の時も、又最後に写経もする。「色即是空」とTKC理念で習ったなじみの言葉も出てくる。お経は、非常にゆっくり始まり、聞き取れないぐらい最大の速さであげる。何事も、ゆっくりと最速の両極端のことを練習するのが基本かと気づく。もっと早く気づいていれば、税理士受験時代の理論の勉強に役立ったはずであるが、今からでも使えそうである。

これからも、「坐禅研修を受ける」という足と腰が痛いことだけに心が囚われた受動的な体験で終わらず、自分から積極的に「坐禅をする」ことを通して、様々なものに気づき、少しでも精神鍛錬にもなればと思い、今年も参加してみよう。
以上

運が良くなる方法

運がよくなる方法を紹介したいと思います。これは、研修の昼食後の一番眠たい時間帯に次の2つのクイズとしてお話していることです。


【クイズ】

1、次の三つうちどれに当てはまるかを聞きます。

①「運が良い」と思っている人

②「運は普通である」と思っている人

③「運が悪い」と思っている人

2、一人の人間が生まれてくる確率を聞きます。


運には、「強運」と「幸運」の2つがあり、上記1は「強運」、上記2は「幸運」のクイズです。


社長の就任会見で、「私は運がよくて社長になることができました。」という挨拶をしますが、「強運」と「幸運」の関係がこの挨拶でよく分かります。聞く方は「生まれながら運がよい人で、宝くじがずっとあたり続けたような幸運で社長になれた。」と思い、言う方は「自己の努力により、強運で社長になれた。」と思っています。「強運」には、次の3つを実行すれば、誰でもなることができます。

一つ目は、「努力すること」です。当たり前のことですが、一回しか努力しない人よりも、100回、1,000回と努力し続ける人のほうが何事につけうまくいき、運が強くなるのは当然の結果かと思います。


二つ目は、「人間関係を大切にすること」です。人間関係を大切にする人には、よい運を他人が持ってきてくれるからです。


三つ目は、「プラス発想をすること」です。


「思考が人生を作る。」という諺にもあるように、自分が思考したとおりにしか、人は行動しないものです。「できる」と思った人はできるように行動し、「できない」と思った人はできないように行動します。物事をプラスに考えた人はプラスの方向に行動し、マイナスに考えた人はマイナスの方向に行動します。プラス発想を続けることが大事で、よい習慣にしてしまえば強運になります。


上記1の質問を面接の時にして、①の運がよいと答えた人のみを採用している企業もあるようです。運がよいと答えた人は、当然ながら、

人間関係を大切にして、何事にもプラス発想で努力し続ける人だからです。

次に、上記2の人間が生まれてくる確率は、次の算式で求められます。

【算式】

2,500億匹(精虫)×400個(卵子)÷1.37(出生率)=約70兆


一人の人間が生まれてくる確率は、約70兆分の1です。宝くじ1等の当る確立が1,000万分の1ですから、比べる事ができない幸運で人は生まれてきています。

幸運な私たちが強運を身につければ、運がよくなるのは当然だと思いませんか。

(参考図書)

櫻木健吉著『運を味方につける本』

中村天風著『運命を拓く』

堀場雅夫著『イヤならやめろ』

マニュアルにない仕事の仕方

今の世の中、学校を卒業して仕事についた時にたくさんのマニュアルがある。しかし、仕事を進めて行く上で、根本的な考え方が載っている様なマニュアルが少なく、どちらかと言うと作業マニュアルばかりが目立つ。私は小学校高学年の頃から職人である父親に仕事の手伝いをさせられ、「仕事は盗むもの」と「釘と金鎚」の考え方により仕事を鍛えられた。当時は、昔の古い考え方だと思っていたが、日本において永年に亘って培われてきた知恵であり、仕事の仕方について実に合理性を含んでいるためここで紹介したい。

「盗む」と「教えられる」を対比して考えて見ると非常によく分かる。例えば、中学から大学まで8年間英語を教えてもらったが、時間をかけた割には余り身についていない。これは教えられるという受身の姿勢で、右から左へと聞き流してきたからである。これに対して、仕事を盗む行為は主体的なもので、極度の集中力を持って仕事に臨まないと、いいかげんな気持ちでは仕事を盗むことができないからである。そこには、自転車に乗る練習をして乗れるようになった時のように、必ず自分でその仕事を一生懸命努力するはずであるから、自然と身に付くのである。また、教えるほうも無駄な教えをすることがなく、時間が節約できるようになる。

仕事の現場で、最初は「釘と金鎚を取れ」と言われる。次に「釘取れ」と言われて、釘だけを持っていくと、「金鎚は?」と必ず聞かれる。次第に「あれ取れ」とか「それ取れ」と言われるようになり、自然に釘と金鎚を持って行けるようになる。最後には、言葉がなく手が出ただけで、自分で判断し必要なものを持っていけるようになる。これは、全体の仕事の流れを把握する能力と、かつ、チームとしてどう動くのかを常に鍛えられることになる。

「気づき」を最も重要視し、究極の「阿吽の呼吸」にまで到達したチームを理想としたものである。マニュアルに記載されたことを記載されたとおりに作業していくことは重要であるが、常に積極的に仕事を「盗む」姿勢と、チームとして仕事全体を「気づき」で見ながら行動できないと、単なる作業マニュアルどおりのことを続けるだけでは私達の仕事は全てコンピュータに取られてしまうのではないでしょうか。